今日、まつくりさん達は『卒園文集』を持ち帰りました。
一人一人に完成した文集を渡すと、嬉しそうにその場で広げ、自分の書いたページを探す子や、最初から1ページずつ開きじっくり見る子もいて、その表情は欲しかった絵本が手に入ったような高揚感を感じさせ、大事そうに絵本カバンに入れて持ち帰っていくのでありました。
今年の文集は例年の文集とは“視点”が違います。
なぜ例年と違うのか、どう違うのかを読まれる方に理解していただくために、以下の文面を『あとがき』として別紙にて付け加えました。
今年の卒園文集を作るにあたり…
当初は、幼稚園生活を振り返る様々な取り組みの中で、『思い出』を「へんてこ事件」と称して書こうとしていました。
ですが、「この子達が本当に書きたいものは何だろう、この子達らしさが伝わることって何だろう…」と今一度考えた中で、「この子達は想像することや、空想の世界のお話をすることを思い切り楽しむ子達。それなら、その子その子の世界観が出るような想像のお話にしよう」と思い、従来の『思い出』の中のことを書くのではなく、『空想の世界』のことを書こうと思いました。
しかし、ただ空想の世界のお話を書くのでは、「車がお喋りをする」「空を飛んでどこかへいく」など何でもいいになり、“文集”ではなく、ただの“お話”になってしまうと思い、設定として『幼稚園にあるモノが生き物になり、幼稚園の中でどんなことをしているのか?』ということを設け、子ども達に考えてもらいました。
子ども達が 幼稚園でしていたことを「思い出す」というよりも、
子ども達が “モノ”の視線から 幼稚園でしていることを「生み出す」…
結果…
幼稚園にあるそれこそ様々なモノ(遊具や樹木、遊んでいたモノから数回しか使わなかったモノ、ベランダに落ちていたゴミのようなモノまで)が、“木の花幼稚園”という舞台の中で生活しているお話…想像で書いているのだけども、そこには、
大人が意図せずして、子ども達が幼稚園で生活してきた遊びや体験、自分の思いや考えが込められているお話となり、その子その子の木の花暮らしを、その生き物が追体験しているようにもとれました。
“自分”のことを書くのでもなく、“モノ”のことを書くのでもなく、
“モノ”の視線で書いたことで、『そのモノが見ている景色と書いた子が見てきた景色が想像できたり…』、『そのモノの感情と書いた子の感情がリンクしていたり…』という、どちらともとれる、“想像”と“体験”が織り交ざった作品となり、今までの自分の思い出話を書いてきた文集とはちょっと違う、今年の、この子達の、卒園文集はこのような形となりました。
以上が『あとがき』として付け加えた文面であります。
世界で一つだけの自分が作ったお話は、自分しか書けないお話であり、幼稚園の思い出でもあり、他の人が読んでも“その子なり”が感じ取れるお話だと思います。
どうぞ、お家でゆっくり、ゆっくりと子ども達と一緒に読んでくださいね。
記よっしー
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