やってみなくちゃ わからない・・・
- 木の花幼稚園
- 2024年10月15日
- 読了時間: 8分
それが木の花の運動会・・・。
そんなキャッチフレーズの運動会は本来は一昨日が予定日でしたが、天気と河川敷の芝生の状態を考慮して一日延期して昨日開催。順延ものともせず、たくさんのお家の方々の温かい声援と積極的な参加、協力を頂き、本当に感謝いっぱいです。有難うございました。河原という空間の中で、躍動した子どもたち、そしてお家の方々に拍手喝采、あっぱれ、あっぱれ!!
空間を楽しむ・・・
犀川緑地での運動会も今年で5年目ですが、事前にその場所でリハーサルなど出来ようもなく、犀川神社前での河原をその空間に見立てて練習をしています。今年は何といっても練習終盤の期間(10月に入って)、雨天続きで河原にも行けず。延期にした水曜日が実質的にほとんど初めて河原において遊戯、演技を各学年通しでやってみた唯一の機会でした。ホールを仮想空間に少しづつ出来上がってきた各学年の演技、遊戯。広い空間にどこまで子どもたちが馴染むのか・・・? 担任達もドキドキ感たっぷりの当日だったか、と(多分)。年長さんの龍の演技での冒頭の「川(滝?)登り」や天空?から斜面を下ってくるのは前日やっていた犀川神社前の河原とも傾斜や地形、草の伸び具合も随分勝手が違っていましたが、全く問題なし。布を胸に張り付かせて飛び回る年中さんもしっかり、全身で風を感じながら嬉々と疾走。年少さん・どんぐりちゃんも広い河原を縦横に動き回り、子
どもたちの空間への順応力を改めて実感・・・。
朝方はまだちょっと湿っぽい、水分たっぷりの芝生の感触にオープニング体操では、大人のほうはちょっと躊躇する方も多かったようですが(分かります、わしもそうでした…笑)、子どもたちはへっちゃら、という感じがなんとも笑えます。子どもたちは土手の草藪、風の流れ、芝生の感触、河川敷の広さを感じながら、身体の感じるまま動く、ということを改めて実感しました。これはホントに野外の空間が引き出す妙味です。やってみてつくづく木の花の運動会は空と風と大地、そして川の流れの風景が似合う、と感じ、犀川緑地に感謝です。(延期はない屋内体育館での運動会をする園も増えてますが、そこでは味わえない充足感です。)
モノと戯れ、モノを仲間に、モノと対話する子どもたち・・・
そんな空間に絡めた多彩なモノに、今年もそれぞれの学年のテーマが秘められています。
まつくりさんは一学期(5月の鯉のぼり作りをきっかけに創立記念日、アスレバル)から続けての「龍」の「物語」。理事長先生は「今年は辰年だからだね…」と感心しておりましたが、担任曰く全然関係ないそうです(笑)。しかし、巡り合わせはあるようで、9月に木の花職員のご親族(以前、木の花っ子たちが和菓子を習ったりなどの保育にもコミットされた方)が亡くなった折の片付けから出てきたのが、「龍」が犀川を舞う図柄のカレンダー。それをまつくりさんにプレゼントしたところ、子どもたちも担任も「おれらのりゅうはこれや!」といたく感銘。イメージがより共有されたようです。
「龍」の演技では「川」や「森」「工場」「宇宙」、「天空」(わかりました?)など様々な情景を子どもたちが分担してこれも色々なモノを駆使して(廃材の筒は「木」にもなり、「機械」にもなり、吸音材は「雲」に…)創り出し、その世界で舞いながら、金沢の街と人を守っている・・・という願いを込めつつの演技(だそうです)。その「龍」の本体はロープを三つ編みにして繋げたもので、七夕飾りでの三つ編み作りをさらに長縄でも挑戦してまつくりさんが一体になれる「龍」にし、全員でつながったり、人数が減った時には二本の紐で「龍」らしい動き方を研究。フィナーレで河川敷を大きく8の字で回ったのは、
無限大(∞)の形で回りたかった、とか(ちなみに学年親対抗競技の参加賞は「龍」のそれぞれの絵柄を描いたメダルにしたなかなかの労作です。大事にしてくださいね)。
さくらあんずさんは布。1学期から色々な染物の活動をしてきた、その染めた布を始め、幼稚園にある沢山の布を使ってどんなことができるか?目いっぱい挑戦。演技では「電車」や「飛行機」などの乗り物にもなり、お祭りの「おみこし」や「獅子舞」にもなり、親子競技では長い布を「ベルトコンベアー」?に変え(皆さんう
まく息を合わせてターン出来てましたねえ・・・)、リレーではバトン代わりの「大玉ねぎ」に変身。あれを担いでのリレーはなかなかの力走です。
うめももさんは新聞紙。祖父母の会でいっぱい遊んだ新聞を使い、乗り物好きのうめももさんのイメージに添う世界を創り出して遊んできたうめももさんの救急パトロール隊は、119回目の運動会にちなんだ訳ではありません(笑)。日常の中でも新聞を使ってちぎったり、丸めたり、きったり、貼ったり・・・等々のモノが「ハンドル」になり、「プロペラ」、「ホース」、「線路」、
「石」、「キノコ」(理事長先生は、この「キノコ」にリアル感を感じいたく感銘を受けておりました…笑)?などに替わりながら、その世界を楽しむ・・・。そんな様子にどんぐりちゃんたちも練習風景から虜になって混ざっていました。
モノとしては子どもたちの動きやイメージに合わせた音楽の選曲と時間調整(音の区切り)なども目に見えない担任達の苦労のしどころです。そして音楽の出し方がCDを出したのがゆかりどん、ゆっぴーなど昭和世代に対して、若手はアイパットにブルート―ス?など今どきのICT機器をフツーに使いこなして脱帽です。そんな音楽が引き出す子どもたちの動き、というのもその音楽を身体で感じるのは当事者だけでなく、周りで見ている異学年の子どもたちも然り。ぐみちゃん、どんぐりちゃんたちも身体でリズムを取っていたり、勝手に体が動きだしたり・・・。
共感、共鳴、共動するひとに触発され・・・
ひょっとすると周りの人の存在もそうした練習以上の姿を垣間見せる、大きな要素だったのかもしれません。人周りの友だちのしている姿に触発され、やってみたくなる、あるいは自分のオリジナルなカラーを出すような姿はまつくりの親子競技でも見られました(縄だけでなく竹を巧く活用する子など)。人に見られることでより自分らしさを出す・・・という姿も運動会ならではの風物詩(運動会だけではありませんが、結構顕著にみられるのが運動会の取り組みです)。誰かがやり始めると、他の子も私ならこれっ!と刺激されたり、リレーでお客さんの声援を背に受けて走る姿が飛行機そのものになったり・・・(無人の練習の時より1.2倍速って感じです)、パラバルーンでの練習では全くみせなかったコ
ミカルでリズミカルな動きをここぞとばかりに発揮する子の姿にはホントに感涙・・・。
同時にまつくりさんの場合、各プログラムを考えた子どもたちにとっては、参加者みんなが一緒にやってくれるオープニングの「龍」体操、子どもの描いたくじ引きで出たハードな運動に挑む祖父母競技、ちっちゃい子の乗り物、大人VS子どもの変形動物変身バナナ鬼、学年親対抗の「椅子」取りゲーム色々モノ版(椅子出ていませんが…笑)、他の園の子どもたちも混ざってする全園児競技
等々、参加者がド真剣に取り組んでる姿を見るだけで嬉しいことです。対象の「ひと」を想像して競技を考え、やってみてもっとより面白く修正して・・・と試行錯誤で追究する醍醐味はさらに当日、実際に参加者が取り組む姿、盛り上がりを目にすることで充実感が高まります(椅子取りゲームも「歌手」のテンションもヒートアップ。これは練習風景を超えて、大いに笑えました)。
運動会なので、もちろんひとと競う要素もあり、子どもたちの中でもモチベーションの一つに「勝ち」「負け」他者との競争はありますが、そこはねらいではありません(今回は特にリレー等でも勝敗を宣言しませんでした)。勝敗は二の次。それよりも自分自身の持てる
力を最大限に出しきる、それぞれの自分の殻を破っていく、自分を超えていく力を引き出す、皆と協同する中だからこそ、発揮される新たな自分との出会いを、と私たちは願っています。一人一人に、そしてクラスとしてそうした姿が垣間見れたことが何よりもうれしく、運動会という「お祭り」での、私たちの喜びです。お客さんに見られることで引き出される力、そこで魅せる姿を引き出してくれる温かな眼差しと声援に、そして本当に馬鹿馬鹿しいほど真剣に体をフル活動して参加してくれたお家の方たちに改めて感謝です。
ひと、と言えば地域準備している傍から散歩されている地域の方々から声をかけれたり(在園の子のおばあちゃんのお知り合いという方も)、近隣の保育園の子どもたちも観に来てくれたり(毎年交流で全園児競技では一緒に参加)、遠足中の小学生たちが何校も通って声援を送ってくれたり(木の花の卒園生も混じっていたとか・・・)、河原という野外の共有する自然環境の中で、実に多くの地域のひとたちの目に留まり、見守られた運動会でした(ちなみにカメラマンさん、音響のお手伝いの方も共に木の花の運動会のファンになったそうで、有難いことですね)。
最後に各学年で用意して頂いたタープ類の設置での助け合ってのご協力や撤収時のお片付け、そして広いスペースに競技、演技に必要な多種多様なモノの配置に手際よく、出し入れ頂いた保護者会の役員の皆さんにはいつもながら頭が下がります。有難うございました(この日一番の運動量だったかもしれません)。
それぞれのアフターを楽しみながら・・・
片付け後、園に戻り各種の作りモノ、道具など運動会で使ったモノを運動会の撤収後、ホールに並べて置きます。来週にかけてしばらくはアフター運動会を楽しみつつ、運動会後の子どもたちの遊びっぷりをそれぞれの学年で捉え、運動会で培ってきた学びを整理して、次への「お祭り」へバトン渡し。身体の「お祭り」から、秋という季節の恵みを生かした味覚(食)、造形、創作、芸術の「お祭り」へ。本物のお金を扱う「商品」作り、身近なモノを如何に売り物にできるか?という「生産活動」に繋がる営みへシフトチェンジ。それぞれの子どもたちが運動会を潜って(体感して)、運動会アフターから次なる「お祭り」へどうつなげていくのか?またお楽しみに・・・。
あゆどん(記)
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