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それぞれの 新たな扉を 開く春


 園庭の梅が可憐な桃色の蕾を大きく膨らませる中、先週末の土曜日、33人のまつくりさんたちが木の花を巣立ってゆきました。春らしい日差しの中、「まつくり海賊たちの旅立ち」をテーマに、思い出話一切なしの思い切り遊びまくった卒園式。在園児(年少、年中)たちに、「この遊びがまつくりだよ!次は頼むぜ…」という想いのこもった、「バトン」渡しになりました。

 

 今回、卒園式の取り組みの最初の話し合いで、子どもたちから「卒園式までとにかく遊びたい!」「毎日違ったいろんな遊びをして、その中で人気だったやつを卒園式でやればいい!・・」「その中で、かっこいいまつくりさんの姿を小さい子達に見せたい!!」「危険も恐れずに立ち向かう姿!を見せよう」などかなり白熱した議論になったそうです(担任曰く、今までで一番クラスで盛り上がった議論だった、とか…笑)。そのうえで卒園式までまつくりさんたちは毎日やりたい遊びをしまくり、その中でこれをやりたい、見せたい!というものを各自いくつか選択して、披露する式となりました。

 

 これまでも思い出を振り返る「お話」の途上に再現パフォーマンスもあったのですが、合間に掛け声はあるものの、ラップ調での在園児たちへの呼びかけ以外は全編「遊び」。取り組み自体が遊びなので、幼稚園の色々なモノを使い、庭、ホール、犀川などあちこちで、自分たちでやってみたいことをリストアップして、色々な遊びを満喫。これまで以上の遊び方も見出し、残りの園生活を充実させた模様です。

 きっかけとなった卒園生たちの話し合いは、「卒園式とは何か?」と「卒園までの日々をどう過ごすか?」という点で大きな投げかけだった、とスタッフ一同が感じたところです。足跡エピソードを卒園生が語ることも最後の在園児に伝える「舞台」として、もちろん意味ある場でしたが、お話の順番や複数の話し手の登壇など、ホントによく覚えるモノだ、と感心する一方で、結構そのためにエネルギー(と時間)を費やします。卒園式の舞台としての自分たちの見せ場と残りの園生活の過ごし方をどう両立させるか? 卒園生からの、大きな提案だった、と目からうろこのスタッフたちでした。

 

 同時に「遊び」主体となると、一つ障壁となる(と予想された)のが卒園式当日の服。子どもたちの中でも着たい服とやりたい卒園式での中身との葛藤があり、実際にお家で卒園式に使う予定のモノを着て動きを試してみたり、実際に袴を着て事前に園で遊んでみる子も・・・。当日は子どもたちなりにお家の人と相談の上、海賊らしい服装で決めた子もいれば、袴にたすき掛けの紐で動きやすくしたり、記念撮影後に着替えた子もいたり、それぞれが自分で納得できるスタイルを選んで式に臨んだところで先ず拍手、あっぱれだと思いました。

 

 さて当日はお天気にも恵まれ、卒園生の描いた幼稚園の「お宝地図」(園内マップ風に)の中に、今回のテーマ「やってみよう!」の題字を卒園生たちで書き記した看板の元、きれと段ボールで作った海賊船(33人の海賊たちの自画像も乗り)も卒園生を見守る中、年中さん、年少さんが参列し、卒園生の「旅立ち」の姿を見届けました。

 在園の子らは、卒園生が繰り出すピーナッツボールからケンパープレ

ート、スケーター、大繩などお馴染みの遊具、あるいは竹やチラシ、新聞なども使う様々な遊び、ゲームに目が釘付け。在園のさくらあんずさん、うめももさんも身を乗り出して、改めてまつくりさんのすごさに拍手や、憧れ、やってみたい想いを膨らませ、さくらあんずさんはまつくりさんのすごさを伝えDJ風のラップで学校へいく卒園生にエールを送り「次は俺たちがまつくり」という想いを募らせたようです。遊びの最後は大型積み木を「かいぞくさんがころんだ」ゲームで組み替えて、卒園証書渡し後のグループごとのお立ち台を即席でその場で作り、ここに登って最後のポーズを決める卒園生、一人一人をさくらあんず、うめももさんたちしっかり目に焼きつけておりました。

 卒園生保護者の方々も卒園生が階段で歌う最後の旅立ちの歌「やってみよう」の掛け合いに参加。お家でも親子で練習をしてくれていたみたいで、ぶっつけ本番ですが、やってみよう!という子どもたちの新たな旅立ちの背中を押してくれました。また今年は見送りたい、という在園保護者の方々も数年ぶりに参列を復活。最後は卒園生の通り道のアーチを園児たちに連なって、長いお見送りアーチロードを担って頂き、これまた感謝です。


 そしてコロナアフターの今年は卒園式の案内を地域の小学校に子どもたちが届けたところ、まさかの校長先生の参列。式の最後で「学校行っても叱れないようにがんばる云々・・・」という卒園式のラップでのセリフに、卒園生に向けて「叱られても大丈夫」「学校を楽しみにして」と温かな励ましも頂きました。終始ニコニコでご覧になられた先生、「こんな楽しい卒園式は初めてです」と式後の歓談での感想は、正直な気持ちだった模様(こっちの思い込みかな…笑)。遊びの持つ様々な学びの力を学校生活へ繋げたい、と子どもたちの力を汲み取り、今後の幼小の交流活動の申し出にも積極的なご回答を頂きました。コロナ禍で空白だった学校関係者の久々のご臨席に感謝、感謝です。

 

 卒園して巣立った年長さんですが、卒園式後の週明け、18日は卒園遠足。海賊たちだから、と『海』、そして海賊なら肉を焼いて食べる!という子どもたちの強い希望で、スコップにバケツ、炭、竹、一斗缶、ブルーシート、長棒、ロープなどを荷車に乗せ、子どもたちも手に手に大型バスの発着場所に持参。幼稚園の子がどこにサバイバルしに行くの?という荷物の量と種類に、バスの運転手さんたちも目を丸くしておりました…(笑)。 

 

 そしてクルーズターミナル経由で到着した松任海岸は冬の日本海!の荒波がお出迎え。そんな海に歓喜の雄たけびを上げて、でかい流木など集め幼稚園時代、最後の海賊ライフを満喫した卒園生たちでした。


 

 翌日、年中さんはバス、JRと公共機関を利用して小松まで乗り物遠足・・・。一日たっぷりと非日常の旅を満喫。3月いっぱいでお引越しで園を離れる子もいるのでお別れ遠足にもなりました。

 

 うめももちゃんも一足早く乗り物遠足で小松まで。その後は卒園式にしっかり参列し卒園生を見届け、卒園後の預かりのまつくりさんの側溝掃除を見守り、一輪車をベットに一年最後のひとときをのんびりと過ごしておりました。

 

 ぐみプチちゃんは金沢駅まで小雨の中、バスに乗って金沢駅まで新幹線を見学にいき、卒園式後には最後の交流クッキングでホットケーキを一緒に分かち合い、仲間意識を培って次は本物のうめももになる・・・という意識も芽生えてきたかな(笑)。

 1歳ぐみちゃんは本園でも何度か昼食をとり、来年のどんぐりさんへの地ならしをしていました。のんびりと遊びつつもまつくりさんたちのしてきていた遊び、お仕事にはしっかり観察、時にはどっぷり混ざって力を蓄えています。まつくりさんたちがかつてそうであったように・・・。


 かくて木の花暮らしの2023年も幕を閉じます。新たな春は人生の「旅立ち」でもあり、様々な別れの季節であると同時にまた新たな出会いの時期でもあります。新たな学年に上がることで、また新しいつながり、出会いが生まれることを願っております。

 

一年間、本当に有難うございました。

                                                              あゆどん(記)

 

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