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木の花の考え方2/4

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「たてわり」のグループもあるんですか?

異年齢との付き合い方を学ぶ!
少子化の中で異年齢の関わり、付き合いが減っている今の世の中。なので同学年のクラス編成とは異なる、出会いの場を異年齢の固定メンバーで作り、異年齢だからこその遊びや生活の場も用意します。

 自由遊びの中でも異学年の子たちが自然に関わりあう姿が見られます。クラスの枠を超えて、気の合う子どもたちを見つけることができます。そうした自由遊びの場とは別に、活動の中で年間を通じた「たてわりグループ」を作り、異学年や担任以外の先生と知り合い、関わる機会をここ数年、意識的に設けています。行事等でみんなが集まったときにチームになってゲームをしたり、一緒にお昼ごはんを食べたり(「ランチの日」と呼んでいます)、遠足に行ったり、玄関ホールに飾る季節の絵手紙をつくったり・・・。恒常的に行うことで関わりが深まり、上の子は下の子の面倒を見るなど、同じ学年の中でとは別の出番を作ることができたり、下の子は上の学年の子をモデルにし、具体的に自分たちの学年が上がったときの姿に見通しを持ったりすることができます。
 
 グループの活動は、知らなかった「自分」との「出会い」の場でもあるのです。きょうだいの関係や「いつもの友だち」の間ではいつの間にか役割が決まっているもの。違う相手とだと、違う役割や出番のチャンスが生まれます。僕だっていばってみたい!黙ってぼーっとしていたい!誰かの世話をしてあげたい!自分の提案が採用される経験、却下される経験・・・・・はじめて経験して、「僕、こんなことできるんだ」「私、みんなの前で話すのが好きみたい」「私が、ちっちゃい子を連れてくる」・・・・・自分について今まで知らなかったことをあれこれ発見する機会にもなります。
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幼稚園の「お仕事」って、例えば どんなことですか?

生活を通じた学びが生まれ、出番と役割、「働く」ことの楽しさを知る!
木の花には、「お勉強」の時間はないけれど、「お仕事」はたくさん。そこには3つの意味があります。生活を通じた学び(スキル・知識、活用する力)、一人一人の役割と出番の機会の提供、そして人のために役立つ自信と誇りを培います。

 木の花には、「お勉強」の時間はないけれど、「お仕事」はたくさんあります。お片づけしたり、給食の用意をしたり、お庭の穴ぼこを埋めたり、プール掃除をしたり、溝さらえをしたり、お引越しで遠いところにいく子にお別れのプレゼントを作ったり、運動会の競技を考えたり、木の花まつりに子どものお店を出す用意をしたり・・・・・。やりたい子だけがやればいい「お仕事」もあります。「木の花の旗を作るから、誰か、手伝ってー」と叫んで、「やってもいいよ」という子だけで縫う、なんて場合。縫い物は、木の花保育メニューの1つだけれど、母の日のプレゼントに年長さん全員がハート型の飾りを縫うこともあれば、「木の花まつりにカバン屋さんする」と、毎日カバンを縫った子もいました。手縫いでは間に合わなくて、「ミシンにするわ」とおうちからミシンを借りてきて。一人1枚、縫って絵を作って、クラス全員のパッチワークキルトを作ったこともあります。そんな環境だと「人形作りたい」と自由遊びの時に人形を縫う子もでてきます。何歳だから何を作る、なんて決まっていません。できるかな・・・のドキドキがあって、・・・できちゃった。僕ってスゴイみたい!!を体験する仕掛けが「お仕事」です。
 幼稚園の生活で「お仕事」を大事に考えているのには2つの理由があります。
 ひとつは、「生活を通じて学ぶ」ということ。例えば、文字。木の花では「字のお勉強」はしないし、ドリルもありません。けれど、お買物のメモ、お店の看板や値札、チケット、引っ越した子と文通、お泊まり保育の日程をお部屋に書いて貼っておこう・・・「文字を使う」ことはよくあります。文字を覚えることが目的ではありません。文字の形を覚えるより、文字ってこんな時に使うんだな、を身体で知っていることの方が大事なのです。話し言葉を、赤ちゃんは おとなとの「おしゃべり」を通じて覚えていきます。書き言葉も同じこと。本当に役に立 つ学びは、そんなふうに「生活を通じて学ぶ」。特に幼児期には、おとなの働く姿が見えにくくなり、「お手伝い」という子どもの参加の仕方も減って、「生活を通じて学ぶ」チャンスが少なくなっています。だから、幼稚園が「お仕事」をする場。(学校には「生活科」や「総合」という時間ができています。)
 もうひとつは、「お仕事」はそれぞれの子に「役割」を与えるということ。重いものを何人かで運ぶ時、子どもは、あの子はどこを持つのかな、僕はここを手伝った方がいいかなあ・・・・・なんとなくお互いに役割をつかんで動いていきます。
「遊び」じゃないから「僕、やめる」にはできない。とにかく、なんとかしなくっちゃ。
 「お仕事」は子ども一人一人に出番を作り、遊びでは見えない「その子の力」を発揮させます。
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お昼ごはんを食べている子もいれば、まだ食べていない子もいますね。

お昼ごはんは、いつ食べるんですか?

食の楽しさは味覚のみにあらず!
多様な食事の在り方を体験する中で、食べることの多様な楽しみ方、食がもたらす色々な五感を身体でつかんでいきます。
お昼ごはんを食べる時間は、その日の活動によってまちまちです。

 年少さんが入園したての頃は、自分で自分のお弁当箱を出す、給食を配膳する先生のところにもらいにいくなど、おうちでの食事のときとは違う幼稚園での食事をするまでの準備や片付けを知ったり、お友だちと一緒に食べる楽しさを味わったりするためにも、早い時間に食べることもありますし、年中さんや年長さんもお弁当を持ってお散歩に出かけたり、午後からみんなでじっくりやりたいことがあるときには12時前に準備して食べることもあります。逆に、年長さんになると、午前中の活動が長引いて食事の準備を始めるのが12時半を回ってしまうこともあります。「お仕事」をやり遂げる充実感を年長さんには味わってほしいというねらいがあるとともに、年長さんならそれができると思っているからです。
 自分で「はあ、今日のお仕事は大変だった」と思うと同時に、やり遂げた自分のことをきっと誇らしく思っています。やり終えた後に食べる食事のおいしさはひとしお。「お腹がすいてかわいそう・・・」と思われるかもしれませんが、お腹がすくという体験も、大切なことだと思っています。空腹の中で食べる食事のおいしさ、ありがたさを子どもたちにはぜひ味わってほしいと思っています。
 また、あえて学年ごとに食べる時間をずらすようにもしています。
 先に食べ始める年少さんたちが食べ終えたころに、年長さんが食べ始める。そうすることで、年少さんたちはホールやお庭、遊具を独占して、自分たちのペースで遊ぶことが出来ます。朝見た年長・年中さんたちの遊びの再現をするなど、年少さんたちが大きい子たちの勢いに押されず、じっくり遊び込むことが出来る時間、そんな時間を確保したいと思っているからです。
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おもちゃが少ないんですね。

いいおもちゃで 子どもは賢くなるのではないの?

想像が創造を生む遊びの面白さを感じるからこそ学びが生まれる!
おもちゃに遊ばされるのではなく、ないものから遊びを見出し、遊びに没頭し、さらに遊びを膨らましていける環境を用意したい。創造する楽しさを実感するからこそ培える、本物の自己肯定感を持てるように。

 遊びのおもしろさは想像です。そして、想像は工夫すること、考えること、の源泉であり、思いやりの源泉です。想像を総動員して遊んで、その結果として子どもは賢くなります。だから、遊び方が決まってしまうおもちゃはなるべく置かないようにしています。
 「遊びを通して学ぶ」は、幼児期の学びの特徴ですが、そのキーワードは想像。おもちゃが子どもを賢くするわけではありません。例えば、今風のままごとセット、システムキッチンに電子レンジ・・・では 子どもは決まったしぐさで決まったストーリーをなぞるお料理ごっこになりやすいのです。
 木の花にはそんなおもちゃはないから、そこらでみつけたダンボール箱1つがお風呂になり、自動車になり、次には犬小屋になって・・・・・・。子どもの中に生まれるストーリーに沿って変身していきます。大型積木はレンジになった次の瞬間には病院の窓口。布はソリになってお姫様のドレスになる。新聞紙は剣になり、かばんになり、服になりお団子になり雨になり・・・・。それは、ダンボール箱や大型積木や布、紙という素材に「想像の余地」があるからです。
 木の花幼稚園には、こうした素材はたくさん用意してあります。そのためにゴミ箱をひっくり返したようなバタバタに見えるとしても。今の子どもたちは家でたくさんのおもちゃに囲まれています。持っているだけでうれしいおもちゃ、遊び方説明書がつくおもちゃ、次々出るゲームソフトやスマートフォン等ITの世界の普及で、子どもたちは想像しなくなり、遊びを作れなくなっています。だから幼稚園は「ないことの豊かさ」にこだわりたい。本当に賢い子に育てたいから。
 そして、子どもの遊びを引き出し、支えるのは「空間」。遊び心をくすぐる、考える前に身体が動き出すような空間をぜいたくなまでに用意したいと考えています。ちょっと昔の子どもたちの遊び場は、お寺や神社の石段、河原のスロープ、物置の中、屋根裏、縁の下、窓から出た屋根の上、空き地の草むら、小川、水溜まり、落ち葉溜まり、雪溜まり・・・。
 今の子どもたちの生活にはなくなってしまった空間です。だから、建物として、お庭として、幼稚園に作りました。広い階段、その横の作りつけの滑り台、吹き抜けのホールの上の渡り廊下、狭い戸をくぐって入るキャットウォーク、戸を開くとベランダのデッキにつながり、閉めるといくつかの小スペースができる部屋、出入りしてもいい窓、よじ登っていい棚、動かせばいろんな形、いろんな小さな空間を作り出せる家具・・・・仕掛けはいっぱい。
 お庭は、昔からずっと草っ原。虫も鳥も来るように。お庭の土を掘って川やダムを作ったら、もう砂場では足りない。それで砂場はなくして、木を増やしました。森と呼べるくらいに茂って、夏ミカンも栗も柿もカリンも生って、木からもいで食べられます。「雨だ!」カサを持ってお庭に飛び出すのは、雨だからこその遊びを知っている子どもたち。
 大型積木を組み上げて3階建て地下室付きのおうちを作る、階段まで組み込んだ大型積木の迷路を作る、グランドピアノの下でおうちごっこをする、舞台全部をゴールにしてサッカー、2階の渡り廊下とホールの間で紙飛行機の応酬、渡り廊下の柵に縄跳びを結んでブランコをつくる、等々・・・・空間そのものを自分たちで使いまわして遊べる子どもたちです。
 だから、遊びのためのコーナー設定はしません。
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