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卒園文集「まつくり おしゃべり えほん ~うたもあるよ~」ってなにさ!?

毎年年長さんの卒園まじかのこの季節に、自分の心にあるものを言葉にする『文集づくり』をしています。

文集と聞くと堅苦しく感じる方もいるのではないでしょうか?言葉のインパクトだけ見ると文書を作って書いたものを集める“作文集”みたいに思われがちなのですが、“文集”はちょっと違うのです。(現に今年卒園のお母さんから、「木の花なのに“文集”を作るって堅苦しいことするんですね~」と声がかかったので、そのアンサーを込めてここに想いを込めますね。)

その子が自身の中に園生活の中で生まれてきたもの(文章)を文字や絵を駆使して表現するのが“文集”なのです。「〇〇だとおもいました。」とか「△△をしました。」という正しい作文づくりは目指していないのです。なので話し言葉そのままの子もいるし、セリフだけの子もいる、客観的に語っているように書く子もいれば、単語で書く子もいる。(苦手な文字は見ながら書いたり、スタンプを押したり、パソコンを使ってみることも!)もちろん、絵で語りたい子は絵を全面的に書いていくこともあります。あくまでそのページを見るだけで、その情景が浮かんできたり、こんなことが書かれているんだ!と話せたりする、たった1ページだけのその子だけの物語づくりが木の花の“文集づくり”なのです。

 

今年は自分の思いを語るのがとても苦手な子が多く、でも心の中にはいろんな思い・葛藤がよく見ればわかる・・・ような、わからないような。笑 そんな思いがどうやったら見えてくるだろうか‥‥と考えていたところ、秋ごろからお部屋で読んでいた「おしゃべりさん」という絵本をヒントに、日々子どもたちが使っているモノが話し始めたらどんなことを話すんだろう?というところを切り口にいろんなモノのおしゃべりを考えるところから始めていきました。

とてもまじめな子どもたち。「おしゃべりさんしよう!」と投げかけると、原作に忠実に「今日のおしゃべりさんは〇〇さんです!」という語りから始め、これまた原作を忠実に再現しようとしたのか「痛い」「重い」「苦しい」などネガティブな話題で盛り上がっていたり…(ある意味今年のまつくりさんらしいところはありましたが。笑)担任の願いとしたら、そのモノを使って情景が浮かんでくる言葉だったり、モノの気持ちなようで本人の気持ちが出ちゃったという言葉になってほしいな~とお思い、さまざまな手法で思いをページに乗せてみることにしました。(原作のような「インタビュー」、独り言のような「語り」「詩」、人とモノ・モノ同士の「会話」、そのモノにまつわる「物語」、一方的に語り掛ける「手紙」、なんといっても今年一年のテーマになっていた音・音楽を絡めた「歌」など、いろんな形が自然と生まれていきました。)

 

初めの頃は思い入れがあまりないものでやっていたからか、擬人化しているだけでそのモノである面白みが感じられない言葉がチラホラ…幼稚園で一番使っていたもので考えてもらったり、使ってたのしい・おもしろい・むずかしいなどなど、気持ちが乗っているモノを選んでもらったり、「その子は何でそんなこと思ったんやろう?」と一つ一つ尋ねながらじっくり想いを探っていきました。ちょっぴり困っている様子も見られましたが、じっくり話す中で適当な言葉は消えていき、本当に思っている事・生活に根付いている事は自信のある言葉として残っていき、その子たちなりの「おしゃべり」の輪郭が見えてきました。(今回、ちゅーりん初体験の文集での歌作りは、節のようなところからスタートする子もいれば、歌詞先行で考える子、ピアノやマリンバを使ってメロディー先行で考える子もいて、本当にミュージシャンの歌づくりを見てるような感覚でした。)

同時並行で紙に書く・描くもやっていきましたよ。これまた今年の子の特徴なのか、苦手意識が強かったり、そのくせ絶対に書きたい!と意固地になったりと、その子らしい書く・描くが見えてこない子が…。「このお話(おしゃべり)でどこが大事なんかね?」とまたまたじっくりお話しながらカキカキ~そこからやっと、全文章書ききりたい子、絵をじっくり頑張りたい子、プロフィール帳のような書き方になっている子、暗号のような書き方になっていく子、見た目にこだわる子などなど、ちょっとずつその子らしさがにじみ出ていきました。

今回、園生活を振り返っているわけでもなく、一人称が「自分」じゃない子もいるし、読み手からすると分かりにくい作品も多いのですが、今回驚かされたのはタイトルもその作品の一部だということを子どもに教えてもらったこと。あるモノとの会話なんですが、どっちがどっちの言葉かわからなくなってしまっていたので一緒にどう変えていくか考えて、直していったんですが、最後に本人の言葉がその子が喋っているようにするにはどうしたらいいか…と頭を悩ませていると、「ちゅーりん、何言ってんの名前(タイトル)でわたしから質問って言ってるじゃん!それがあれば私が喋ってるってわかるに決まってるじゃん!!」と堂々と語る姿を見て、そういうところまで思いを巡らせて語るまつくりさんらしい姿に『成長したな~』としみじみ感じるのでありました。

 

※これは余談ですが、木の花の文集は子どもも手作りなら先生も手作り!子どもたちが完成させたページを印刷するのも先生、ページをまとめてつづるのも先生たち。中も外も手作り感満載の一冊となっております。

 

完成した絵本は今回読むのにもエネルギーがかかるものが多いので、数日間かけて読み聞かせ会もしましたよ。『おしゃべりさん』なのでモノが話しているはずなんですが、やっぱり自分の心がにじみ出ているので、恥ずかしい~とちょっぴり隠れる子もいたんですが、1ページ1ページ噛みしめるように見入っていました。(なので、「いつ持って帰れる??」と待ち望んでいたんですよ~。)

迎えた今日!「袋もうあるし!!」と朝から持って帰る気満々の子どもたち。最後の読み聞かせ終了後もフライング気味にペラペラ読み進めている子もいました~。

 

はっきり言いますが、一回読んだだけでは読み解けないページもたくさん。笑 でも、何度も読み返すことで、見えてくる姿・情景もあると思いますし、また卒園式の土台にもなっている一冊なので、何度も読み返したりしてもらえたらうれしいな~と感じます。

ちゅーりんも卒園式まで熟読しておくね~♪♪

 

記:ちゅーりん

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