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ツリーハウス再建プロジェクト


プロローグ

 120周年事業の一つに園の環境整備があり、その一つにツリーハウスの再建というのもひっそり挙げてありました(笑)。初代ツリーハウスは2024年12月に撤去(注1)。学校法人の理事会では建築資材の高騰の影響もあり巨額の費用が生じるため、R7年度の予算に材料費のみの計上が認められ、自力で行うことに・・・。労力と時間は費やしますが、業者施行とは異なるメリットもあります。業者に任せると、建築期間中は仮囲いで完全遮断する必要があり、子どもらにはプロセスが見えないし、この間は園庭遊びが相当制約を受ける。夏休み期間でも夕涼み会などスペース的に影響が大きいetc)。その点、自力の場合は建築作業のピンポイント期間だけその場の閉鎖でよく、しかも丸見えなのでプロセスがあまねく子どもらに見える、お家の人の手も借りられる、子どもの遊び方(初代のツリーハウスでの)を念頭により面白く、かつ安全への細かい配慮工作などもできる、初代では出来なかった自力で完遂の夢も果たせる等々、ええこともあるやん!とやる気モード満載。4~5月は構想を練り、ラフスケッチと詳細図面(?)を引き、昨年6月の園庭ワクワクプロジェクト初夏編から施工をスタートしました。


シーズン1 ・・・土台作り

 ツリーハウス施行にはいくつかパターンあり、木の形状(あるいは複数の木)を利用しそのまま木の上に「ハウス」を乗せる、また木の周りに別に支柱を加えてそこに「ハウス」を乗せるやり方などがあります。初代は後者の方式でしたので、今回もそれに準じました。より安定性を保つために木から伸びる枝4つと土台に使う梁を4つ、そこから上に建てる4つの支柱を連結させて構造的に安定度高めることとしました。 

 

 木の枝と支柱をボルトで繋ぐか迷いましたが、ロープ固定としました。定期的に緩めて木の成長を阻害せず、木自体を傷めないためです(注2)。土台作りのポイントは支柱を鉛直方向に(空に向けて)地面に対して直角に伸ばした先に太枝とどう支柱と絡めることができるか・・・?でした。その計測に時間を費やしましたが、その場所を特定しえたのは、職人でもある在園のおやじが測量機を持参しレーザー照射作戦。支柱設定の場所を特定し、寄贈頂いた御影石を土台に設置しました(土台の梁に使う足場には耐火煉瓦を使用。もちつきに足りなくなり、後におやじの会から耐火煉瓦も寄贈!)。

 

 かくて6月の園庭わくプロから土台作りに着手。土台を組む梁は在園生、卒園生から旧家の木造家屋と思われる太い梁を頂き、斜めの筋交いになる垂木を入れて組み合わせて完了。この土台作りでは故郷アメリカでツリーハウスが実家にあるというアメリカンおやじのアイディアで土台支柱と梁を組み合わせる際に、パイプを組み入れて強度を増す技には目を瞠ります。単純にネジで止めるよりも断然強い。

 

その後、床の平板を張り巡らせ、ワクプロ土曜日編でお手伝いに来てくれたお家の方々にペンキ塗りをしてもらい、第1セクションの1階土台は終了です。







シーズン2 ・・・2階作り

 夏以降、しばらく1階土台で遊んでいた子どもたち。2学期になり、2階への支柱の柱(檜)は職人でもある在園の保護者の伝手で材木屋さんから納品してもらい、構造上の太い柱材、垂木や床材、屋根材、支柱材などは園の改修工事等でお世話になっている専門業者さんから米ヒバを調達(油分を含む腐食しにくい材質)。9月半ばからいよいよセカンドセクションの幕開けです。

 

 支柱の立ち上げには再び植木職人のおやじが奮闘。レーザーの測量機で鉛直方向にしっかり定め、支柱の通る1階平板を一度外し、土台の梁と上部のどんぐりの木から伸びる太枝を結ぶラインに支柱を立てていきます。この支柱と梁を金属ボルトで止めると同時にそれぞれ梁と支柱が嚙み合わせで合うようにノミで削りを入れて組み合わせました。丸い支柱と梁の直方体を噛みわせるのは宮大工的な精巧な削りの技が必要。そのハマり具合には感涙です。刃の研ぎ方まで伝授して頂き、さすが職人さん! 

 かくて子ども達が見守る中、4本の支柱が立ち上がり、上部はどんぐりの木にロープで固定。続いて支柱に2本の梁をそれぞれ平行に入れます。支柱と上部の2本の梁とは金属ボルトで止めて、さらに梁と直角に3本の太い垂木を入れて構造的には3次元的に組み合わせてこれでばっちり安定しました。この「立ち前」?にはアメリカンおやじの助っ人ほか

よっしー、ゆっぴーなど強力な一部職員の手も借りて完成。2階に床板材を入れると、子どもたちも、おお~という歓声。登る箇所と降りる箇所は床板が丸く削ったり、体が通る材を抜くなど調整を入れます。(初代は外から窓枠から入る構造でした。縄梯子が梁の角に当たり、そこが擦れる点がネックでしたので、今回は鉛直方向から抜けるように造りを変えました。)

 

 2階床ができたところで作業現場は2階に移ります。園庭ワクワクプロジェクト秋編はこの2階骨格が出来た頃に当たったので、ワクプロの参加おやじに手伝ってもらい、4本の支柱にさらに補柱材を


4本追加しました。(これまた植木職人のおやじから頂いた立派な樫の木です。)これで支柱4本に補柱材4本の計8本で2階を支える、より頑丈な造りになりました。

 

 さて秋も深まり気候もほどよい時期に、2階の柱4本を2階床の四隅に入れて骨格を固めて、4つの柱にそれぞれ垂木を平行に計8本入れ、更にどんぐりの木を抜けるように垂木から上部に支柱を伸ばし、支柱同士を組み合わせる最上部の垂木を入れて、2階骨格の完了です。(この2階の構造材も削りを入れて凹凸の組み合わせで強度を入れました。)

 

 その後は2階屋根上の展望台の土台の垂木を4本の柱の対角線に2本、X状に入れます。2階ロフトのような位置取りで、子どもの身長では頭がぶつからない高さで設定。斜めに材を入れて構造的により強固になりました。展望台としての板材を張り巡らせて、2階構造部に関しては完了です。


 2階の壁材としては初代ツリーハウスのような板張りを当初想定していましたが、助っ人アメリカンおやじのアイディアで網、紐、角柱の格子に変更。明るさと重量を抑えらえること、何よりも「ぼくが子どもなら下を覗きたい、見たいよ」という子ども心の欲求そのものを熱く語るおやじの想いに応えることとしました。網、紐の設置は後回しにして角柱の格子を入れて2階部分の骨格はほぼ完了したのは晩秋の頃です。


 そして晩秋から冬に入る頃から屋根材を順次入れていきます。この作業は二人いないと出来ない上に、果たして平行に組み合わさっているか?時々対面の2階年中ベランダ、ぐみ棟の庭用階段から見てもらう役などを職員等にもお願いしつつ、時間と手間のかかるセクションです。雪が本格的に降り始める前に完了したいと内心焦りつつ、太枝が上に抜けると

ころは、屋根材のカッティングを組み合わせを考慮し、材料の数量の読みが難しく、製材所からの発注から納品まで時間が掛かることもあり、好天が続きながら作業が進まないジレンマもありました。結局年内には屋根は3/4程度で終わり年越しに・・・(雪が心配!)幸い年末年始の降雪は少なく、年明けも気候よろしく(お天道様に助けられ)、1月半ば屋根材を貼り終えると大雪を迎えました(セーフ!)。


 

 子ども達は1学期の土台作りから興味津々で覗き込んだり、お手伝いのおやじらに話しかけたり・・・。2学期以降は作業をするために三角コーンで囲いを作り、トラロープを張ると、「何しとるん?」と訊くのはどんぐり、うめももの子ら。「いつできるん?」と訊くのはさくらあんず、まつくりたち。2階作業以降は「気を付けてね」と声をかける子もいれば、「それちょうだい」と作業で出る端材を大事にもらう子もいたり、時にはペンキ塗りを自主的に軍手をはめ手伝う子もいれば、年長さんは「俺ら登れるようにがんばって!」とか「手伝おうか?」と、自らの園在籍中に作ってね・・・とハッパをかけられ、やる気モード全開になったり、「あゆどん、落ちたらわたしたちで受け止めるからだいじょうぶ!」と胸を叩くうめももちゃんたちにほっこり気分にさせてもらったり・・・(笑)。力出ますねえ、子どもたちの声援は・・・。

 

 そして大雪の時に工事中断中の合間、年長の男の子らが完成まで待ちきれない、と、木製椅子を出し、L字を版を使ってウッドブロックを積み上げて、ぐらぐらしそうなところは友だちが押さえて、落ちても大丈夫なようにデッキの上に雪をスコップでたんまり積み上げて、協力して自分たちで試登にチャレンジ。なんとかする姿が、ホントにすごいチャレンジやと感涙。同時に見ていてここが足りない、と展望台に登る足場や手すりなど必要個所も判明。ありがとうね、まつくりさん。

 


シーズン3 ・・・総仕上げ

 断続的な大雪をやり過ごし(この間、屋根雪下ろしもして)、雪解けが進んだ2月後半から作業再開です。年長さんが卒園するまでのタイムリミットが迫る中、2階の網の設置から。猪対応の網を調達し、網を付けるシュロ縄(これも植木職人のおやじからの頂きモノ)を編み込み(この作業が意外に骨が折れます)、編み込んだシュロ縄を柱に縛り、また網自体を角材を入れて全体で持たせる構造に。転落防止の麻紐も角材で止めて一旦ここで切り上げて、展望台の柵や展望台足場を安定するように拡張、展望台下部の転落防止の柵の追加などをしつつ、2階上部からの転落防止用にシュロ縄を張り巡らせ、更に2階

に上がる縄梯子部位の転落防止用の「ハッチ」を設置、2階からの降下用竹棒の設置など細かい造作物の加工、設置が断続的に・・・。他にも屋根の展望台の横にもうひとつロフトから屋根上に覗き穴を切り抜き作業など細かい造作を加えていきます。縄梯子をロフト土台に付けて長さ具合を調整し、最後に2階正面の開き扉を設置(在園保護者からきれいな板材を頂き使用)。ここにはのぞき窓、扉の鍵などを備え付け加工し、その扉にはまつくりさんの有志がアクリル絵の具で絵を描いてくれました(置き土産だねえ~)。ぎりぎりで年長卒園前にほぼ完成までこぎつけました。



 様々な資材の提供や園庭ワクプロでツリーハウス作りに協力いただいたお家の方、おやじの会からの寄付(煉瓦、ペンキ等)にも心から感謝。なによりも年間を通じて継続的に作業に随伴してくれたおやじたちに心から感謝、感謝、感謝です。助けてもらった以上に様々なことを教えてもらい、そういうことも出来るかあ~と対話的に自分自身が開かれて、新しいツリーハウス像にブラッシュアップできたこと、一人ではけして出来ない、本当に得難い体験をこの作業を通じて得られたことが嬉しく、財産だと思っています。本当に有難うございました。



エピローグ・・・試登を経て

 年長さんの卒園まで数日、ツリーハウスの開放期間を設けました。特に年長さんには卒園前にチャレンジする最後の機会。実際に子どもたちの登り方、遊び方を見て安全面でさらに修正作業が必要か?そこを見極めてみたい想いです。(実は冬場にまつくり男子軍団がウッドブロック等を出してツリーハウスにtyっかり抜け駆けの試し登り場面があり、協同して登る様に舌を巻きましたが、お陰で更なる補強部分も見えました。有難う!まつくりさん。)開放期間は張り付きで観察し、今の時点では特に危険な感じはありません。今後、下の学年の子らがトライするようになれば、また違う視点で必要な補修箇所が出てくるかもしれません。適宜対応していく予定です。 

 

 構造的な頑丈さは材料の質を含めて初代より優っていると自負しています。園に出入りしている専門の植木職人さん、園の改修工事の現場監督にも実地検分してもらいお墨付きをもらいました。(現場監督にはダブルナットをお勧めされ、なるほどプロの技かも、と再認識。)さて皆さんもよかったらどうでしょうか?ツリーハウス作りの最後を締めくくるペンキ塗りを予定しています。その際にお家の方にも試登体感する機会も設けますので、興味のある方はどうぞ登ってみてください。そして率直な感想を教えてください。体感したうえで気が付いたところがあれば教えてもらえれば、と思っています。


 子ども達が、やってみたい、という挑戦する気持ちと意欲、そのための体の使い方、判断力(安全スキル)を培う場として、大人の手で支え、子どもたちの遊び場を創造し繋いでいく、そんな木の花の保育文化をツリーハウスを通じてこれからも大事にしていきたい、と思っています。

                                                   あゆどん(記)  

 


<注1>初代ツリーハウス誕生のきっかけは、子どもが持ってきて見せてくれた幼児雑誌と子どもの一言です。実はあゆどんの保育者時代に段ボールハウスを作り大きくなりすぎて庭に出し、その周りを板張りで子ども達と木工ハウスを作ったものの、卒園式前に車を入れるために泣く泣く撤去した際、「こんなお家なら壊さんでいいやろ。これを作って!」と雑誌の写真を手に女の子に促されて見れば、関東(群馬県)にある幼稚園のツリーハウスでした。立派な木の上に建つ家は神殿のように見え、これやで!と自身も気持ち晴れやか・・・となり、早速その幼稚園さんの住所を調べて、園長先生にお手紙を出したところ、懇切丁寧に面識もない片田舎の人間にご自身で手掛けたツリーハウス作りのレクチャーを詳細なお手紙が返ってきました。プロ並みの手腕であったことがお手紙からも伺え、心の師匠として以後やりとりが続きました。その後2008年の秋に第5代の理事長先生が亡くなられ、その折に園にまとまったお志をご寄付頂き、それを原資に、2009年夏にどんぐりの木(コナラ)にツリーハウスができました。当時はまだ自力の自信もなく業者さんに依頼。その後3階展望デッキの増築をおやじの会で実現しましたが、木の成長に土台の構造が見合わなくなり2024年12月に撤去しました。



(注2)木の上に完全に乗っけるか?別に支柱を立てそれを土台にするか?・・・というと、木の花のどんぐりの木の場合は、支柱がないと構造的には難しい、と思いました。木の形状から桜の木が可能かと思い、当初はこちらでも構想しました(根っこがでかくなりすぎてアプローチ通路を補修した、うめももの部屋の前の桜です)。場所的にはやはりどんぐりの木が一番いい。なので支柱を入れるやりかたを踏襲。但し支柱と木を連結させてより強固に、木と一体となれるハウスにしたい、という思惑で構想を練りました。問題は連結の方法です。アメリカや欧州などのツリーハウスは木に穴を空けて太いボルトを入れて固定するやり方が主流のようです。個人的には木に穴を空けることに抵抗感がありますが、実際には前者の方が木の負荷は少ないと言われています。樹皮の表面部位に栄養分を通るラインがあるので、縛るとそこを塞がれて木は育ちにくくなる、中心部分をくり抜いても木の成長に阻害要因にならない、という理由だそうです。しかしなあ・・・文化的精神的な心情の差異でしょうか。助っ人のアメリカンおやじさんとは議論の末、連結に関しては縛る方式としました(一年おきぐらいにロープを緩めて縛り直す、というケアを込みで)。欧米でみかけるツリーハウスは大木ばかり。木の花のどんぐりの木はそれに比べると子ども並みです。穴を開けずにおこう、またツリーハウスの寿命より木のほうがずっと長く生きる、助っ人アメリカンのおやじさんの言い方に妙に納得したものです。

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