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子どもらの 歓声響けや 天までも・・・

春先から始めたツリーハウスの屋根を中心とした修繕作業を一通り済ませると、ロープアスレチックの吊り橋、そして木工ハウスの修繕へ・・・。一冬越すと特に手作り木製遊具は傷みの部位をその都度入れ替え、あるいは補修が必要なので新緑のこの時期は樹上生活の日々が続きます・・・(笑)。ツリーハウスではドングリの木でウグイスさんの可憐なさえずりを間近でBGMに(至近距離なのでホント聞き惚れます)、木工ハウスでは栗の花の爛漫な匂いに酔いしれつつ、高みの樹木から目に留まる子どもたちの遊び風景に見惚れて、ついつい作業の手も止まることもしばしば・・・。


じっくりと砂を集めて「料理」に没頭する子も入れば、年長さんが粘土土の発掘のため、あちこち掘り起こした穴に水を貯めて「足湯」にして楽しむ子もいれば、その穴で出た土山を水を加えて泥泥山にして自分たちの足を埋めて楽しむ子も・・・。









中には凸凹の穴に身を委ね、「わたしら地球と一体です…」とばかり寝転んでいる自然人もいて、大地と共に生きる風情に感嘆感涙・・・。



 ツリーハウス作業中はロープを張って工事中だっため、子どもたちも入れなかったものの、工事個所をロープアスレチック、木工ハウスに移動すると、ここぞとばかりにツリーハウスも従来のように遊び拠点に戻り、上の学年の子らに影響されてぐみちゃんたちも登ってみたい、と盛んにトライする子も・・・。


 何度も縄梯子を登っては途中で降りて、を繰り返し、時には縄梯子に座ってぐみの子同士で談笑したり・・・。この種のバランス感覚は色々な場所での遊びで培われているようで、ロープアスレチックや砦、ブランコなどもぐみちゃんにとっては、やってみたい遊び場。時には

ぐみちゃんだって二人乗りにチャレンジ!成功!そして微動だにせず・・・(笑)


自然と培われるバランス感覚で、ついに登り切ってしまう子もいて驚き・・・。


 ツリーハウスの縄梯子の高さ間隔は建設当時は30㎝だったのですが、プチちゃんも登れる子は登れて、これは危ないと途中で40㎝へと拡げました。2歳児以下はほぼこの関門で登れない・・・はずだったのですが、膝を織り込んで棒に乗り込み立ち上がっていく、そのしなやかな体とバランスはいっぱしのクライマー。登り切った後のどや顔がなんとも言えません(笑)。





 彼が立派なのは自分で降りてこれること。竹棒からのレスキュースタイルの降り方も危なげなく、登って降りてを繰り返し繰り返し楽しんで、今は三階へとチャレンジ中・・・。3階登頂の最年少記録を塗り替えそうです・・・(笑)。


 そんな遊び風景を眺めつつの高所作業の日々に届いた関東のある幼稚園からの園長先生訃報のお知らせ。ショックでした。というのも、その園にはその園長先生が作られたツリーハウスがあって、木の花で10数年前、ツリーハウスを作る際にも懇切丁寧に教えてくださった、木の花ツリーハウスの陰の立役者でもあったからです。



 まだあゆどんが園長になる以前の現場の時代。大きな段ボールをいっぱいもらって子どもたちと段ボールハウスを作って遊んでいましたが、発表会前に行き場をなくして、庭に移しました。晩秋の天気も悪い時期なので端材を使って段ボールハウスの周りをカバー。昼夜の突貫作業には他の先生たちはあきれ顔でしたが、子どもたちは入れ替わりトンカチを振るい屋根にトタンを使い雨、雪にも耐えられる仕様に進化。一冬を越せるほどのハウスが庭に出来ました。が・・・卒園式前に泣く泣く解体を余儀なくされました(車が止められませんもんね)。

 失意の中、子どもが持ってきたのは一冊の幼児雑誌。「こんなお家なら壊さんでいい。これを作って!」と言って見せてくれたのが関東にあるK幼稚園のツリーハウスでした。立派な木の上に建つ家は神殿のように見え、写真を取り囲む子どもたちも、なるほど~と感嘆、感涙。これを作ろうよ~と盛り上がり、早速K幼稚園さんの住所を調べてお手紙を出したのが繋がりの一歩でした。

 件の雑誌の園長先生は写真で拝見する限り「職人」のような風情でしたが、すごく優しい、子どもたちに慕われ、常に子どもたちと共にある、そんなお人柄であることは御返事をいただいた御手紙からも十分伝わってきました。そして面識もない片田舎の人間にツリーハウス作りのレクチャーを丁寧に教えてくれました。その後あゆどんもひょんなことから園長となり、先々代の理事長先生が亡くなられた折に園にお志を寄付された原資で、想いを果たすチャンスはこの時と、今のドングリの木にツリーハウスが出来ました。もう10数年前のことです。

 実は当初はうめ組の部屋の前の桜の木も候補でした。木の形状、枝振りからするとツリーハウスは組みやすいと思っていました。しかし、園長先生とのやり取りの中で補強支柱を入れるやり方も伺い、木が成長する後々のことを考えると支柱を別に設ける方式のほうが長持ちする・・・という話も伺い、ドングリの木に決めた、といういきさつもあります。ちなみに桜の木は今はハンモック型のツリーハウス?として高いところ好きの年長さんがハマっています。(ツリーハウスより難しくしてあるのが、余計にチャレンジ精神を搔き立てられるようです。)


 K幼稚園の園長先生のような腕前はなかったので、専門業者さんに土台、骨格の作成をお願いしましたが、完成した木の花のツリーハウスを我が事のように喜んでくださり、その後の改良(3階増築)、メンテナンス(ペンキ塗り)などは当時のおやじの会の方々にも多数助けられました。(ツリーハウス屋根を補修しながら、当時のおやじの会の面々のすごさも改めて感嘆、舌を巻きます。木の形状に合わせた屋根の作り、その作り方、作業場所を考えると、クライマー顔負けのすごさをロープで確保しつつも実感しています。)


 さて件のK幼稚園の園長先生とはその後も年賀状で互いの園のツリーハウス事情をお知らせする・・・そんな淡いやりとりの繋がりでしたが、独力でツリーハウスを創り上げたK幼稚園の園長先生は、あゆどんからすると師匠のような存在でした。ツリーハウスの屋根に登り木肌に触れながら走馬灯のようにこれまでの想いが頭を駆け巡り、ツリーハウスで戯れる子どもたちを見るについて、人の繋がりが生み出す、紡いでいく財産をつくづく感じます。有難うございました。心からご冥福をお祈りいたします。そして遠い空から、木の花っ子たちのツリーハウスも見守ってください・・・と胸の中でつぶやきつつ、作業の手も力がこもります。

 

(ちなみにツリーハウス屋根のペンキ塗りは、紐を木の枝に縦横にかけてペンキバケツを吊るし、スライドさせながら屋根の端っこ側からトップへと塗ります。最初はペンキをこぼしたり、手順を間違えて屋根トップ側から塗って端っこまで行って登り返せない・・・というアホなことも…笑)


 さて新入園の子どもたちもぼちぼちと木の花暮らしが板につき、間もなく幼稚園のお誕生日を迎えます。庭を縦横に使いしなやかな体に鍛え、巡りゆく季節の中で多様な好奇心、興味関心を育みながら子どもたちは、創立記念日の取り組みをくぐって、各学年のクラス作りの次のステップへと進みます。(あゆどんの作業もトナカイさんの修復など次のステップへ。職員室は留守にすることまだまだ多くてごめんなさい…笑)


                                  あゆどん(記) 

 

                                                     

                              

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